2019/03/02
プライムニュースより
100億円還元 閉店キャンペーン
昨年度、ふるさと納税による寄付を行ったのは、全国でおよそ296万人。その額は、約3481億円にのぼり、前年度の1.3倍以上と絶好調ぶりが明らかに。 中でも、大阪・泉佐野市では2018年度のふるさと納税の寄付額が、360億円に達するとの見通しを25日に明らかにした。 これは、昨年度に全国トップとなった際の135億円のおよそ2.7倍にあたる。
泉佐野市が人気を集めるワケ。それは「100億円還元 閉店キャンペーン」。 泉佐野市では、ふるさと納税の返礼品に加え、今年2月から“プレゼント”として最大で寄付額の20パーセントのアマゾンギフト券をつける、いわゆる“100億円還元”キャンペーンを行っているのだ。
総務省が激怒
“秘策”を繰り出し、360億円の寄付を集めた泉佐野市。しかし、これにかみついたのがふるさと納税を所管する総務省だ。 石田総務大臣は「自分だけが良ければという身勝手な考えで、社会的にも教育的にも悪影響が大きい」とコメント。 政府は、ふるさと納税の返礼品高額化競争に歯止めをかけるため、「調達価格は寄付額の3割以下」の「地場産品」に限定するという通達を再三にわたり出してきた。 2月8日には、違反した自治体に寄付しても、6月以降に税優遇を受けられなくすることを決めた関連法案を閣議決定している。さらに、石田総務大臣は、年度内の“駆け込みキャンペーン”についても対象とする可能性もにじませている。 泉佐野市の返礼品は、「豪華九州産山盛黒毛和牛」や「三陸カツオたたき」など、市外の名産品が含まれている上に、「寄付額の3割以下」についても“ルール違反”を総務省から言い渡されていた。
泉佐野市は政府に真っ向から反論
こうした批判に対し、泉佐野市の千代松市長は「総務省は、ふるさと納税の成長は望んでいないのでしょうか?」とコメント。 返礼品は、あくまで地元企業から仕入れているものと主張。さらに、ギフト券をつけるキャンペーンなどは、市の“寄付獲得の努力”だとして、政府に真っ向から反論した。 ちなみに、2018年11月に総務省が行った調査では、“ルール違反”とされた自治体は、全国で52団体だった。
ルール順守の自治体は寄付金激減
一方で、返礼品のルールを守る道を選んだ自治体の一つ、福島県広野町では寄付額が激減していた。 遠藤智町長は「今般の3割以下の制度に倣って寄付が激減したということは非常に残念です」とコメント。
2015年から3万円以上の寄付で地元でとれた特別なコシヒカリ30キロなどの返礼品を送っていた広野町。 寄付に対する返礼品の割合は5割を超え、限定1000個の返礼品はすべてなくなっていた。 しかし、最初に総務省から、返礼品ルール3割の通達が出された2017年。 寄付額に対する返礼品の割合を下げるため、同じ3万円の寄付で、返礼品を米40キロに減らしたところ、寄付がわずか95件に減少。 これでは寄付が集まらないと再び寄付に対する返礼品の割合を上げ、寄付1万円で米20キロとしたところ、寄付は一気に1600件を超えた。 しかし、現在は返礼品ルールに従い、返礼品の割合を3割以下に下げたところ、再び寄付が大幅に減少しているという。
町長は今後について「この度の返礼品3割というのをしっかり守ったうえで、ご寄付を頂く方策というのを考えていきたい」としている。 ルールを破っても、独自の努力で巨額の寄付を得た大阪・泉佐野市。 ルールを守り、寄付が激減してしまった福島・広野町。 午後4時すぎ、会見を行った菅官房長官は「過剰な返礼品を用いる自治体はふるさと納税の対象外とすべく、現在税制改正の法案審議が行われており、来年度から実施されることになります、この見直しによって、自治体間の健全な競争が行われ、地域の活性化につながる。このことを期待したいと思います」 と会見で述べ、ルールの厳格化に言及した。 (「プライムニュース イブニング」2月26日放送より)